2025-11-25 企業年金
企業年金もまた、広義の報酬制度の一つである。国民全員に加入義務がある公的年金(会社員の場合は国民年金と厚生年金)を補う目的で設けられている任意の私的年金を指す。
企業年金には確定給付年金(DB)と確定拠出年金(DC)がある。確定拠出年金は更に企業型と個人型に区分される。
・確定給付年金(DB)・・・企業が将来の給付額を約束し、運用結果が悪ければ企業自身がその不足分を穴埋めして年金を支給するもの。別法人として設立された企業年金基金が資産を管理運用する「基金型」と、信託銀行や生命保険会社など外部機関に運用を委託する「規約型」がある。加入者が支払った掛金は一定の範囲で生命保険料控除の対象となる。
・確定拠出年金(DC)・・・一定の掛金を拠出し、運用の成果次第で受け取れる年金額が異なるもの。掛金は原則、企業型であれば会社が、個人型であれば加入者本人が拠出し、運用はいずれも加入者本人が行う。企業型においては、加入者が一定額の範囲内で事業主の掛金に上乗せすることができる「マッチング拠出」という中間的な制度もある。個人型は自営業者等も含めて加入可能な任意の個人年金「iDeCo」と同一の制度であるが、会社員には別途厚生年金があるため、掛金の上限は自営業者等よりも低く抑えられている。なお、退職時に企業型・個人型の年金を一時金で受け取った場合は一定の範囲で退職所得控除の対象となり、従業員が支払う個人型の掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象となる。
高度経済成長の時代には、企業がまとまったお金を運用すれば、社員に約束した以上の運用益を得ることが比較的容易であった。このため数多くの企業年金基金が立ち上がったが、バブル期以降、運用成績が著しく悪化して穴埋めに追われることとなった。そこでまず規約型に移行して自ら運用することをやめ、法制度の改正に合わせて、企業に損失が発生しない確定拠出型にシフトしてきた歴史がある。今はまだ確定給付型の加入者も多いから制度は存続しているが、いずれ確定拠出型に一本化されるであろう。労働市場の流動性を担保するためにも、会社員の金融リテラシーをあげる意味でも、その方がいいと個人的には思う。

