2025-12-3 マーケットイン/プロダクトアウト

マーケティングを学ぶ上で最初に理解すべき、対となる概念である。マーケットインとは、市場(顧客)のニーズを調査し、何が求められているのかを理解した上で、それに沿った製品やサービスを開発、提供する考え方である。一方のプロダクトアウトは、自社の持つ技術や強みを生かした製品やサービスを開発し、市場に投入する考え方である。ざっくり「売れるものを作る」か「作ったものを売る」かの違いと理解すればよい。

マーケットインは事業や開発の計画が立てやすく、成果もある程度予測が可能であるが、既に顕在化したニーズを追うことになるので、革新性に乏しく、他社とあまり差別化されていない商品になりがちである。逆にプロダクトアウトは、自社の強みを最大限に生かすことができ、市場の潜在ニーズを掘り起こして爆発的なヒットを生む可能性を秘めているが、「やってみなければわからない」ハイリスクな手法である。

マーケティングのコンセプトはその歴史において、生産・製品志向から販売・顧客志向に変化してきた。そのせいもあってか、世の中には「プロダクトアウト=古い(誤り)」「マーケットイン=新しい(正しい)」という固定観念がはびこっているように思う。話はそういうことではなく、「自社を取り巻く環境に応じて、どちら寄りの戦略を取るのが適切か考える」というのが答えになる。展開する国や地域に応じてメニューや価格を変えるマクドナルドの戦略も、顧客ではなく自分との対話を繰り返してiPhoneを完成させたスティーブ・ジョブズの姿勢も、どちらも「あり」なのである。