2025-12-6 ソーシャルマーケティング

マーケティングは、そのコンセプトの歴史的変遷に合わせ、マーケティングを行う「主体」、その「対象」および「客体」の各方面において概念が拡張されてきた。この概念拡張によって包含されるようになった「マーケティングと社会とのかかわり」を扱う領域がソーシャルマーケティングである。

・マーケティングの主体・・・従来のマーケティングは、それを行う主体として営利組織を念頭に置いていた。しかしながら、非営利組織(政府組織、学校、病院など)の社会的役割が増すにつれ、これらの組織においても目的達成のためにマーケティングの手法を適用していくことが求められるようになった(ドラッカーが、公的機関にもマネジメントを適用すべきだと主張した時期とほぼ一致する)。また、インターネットやSNSの普及により、個人が何らかの意図を果たすためにマーケティングの手法を用いる場面も増えてきた。インフルエンサーやクラウドファンディングはその一例である。

・マーケティングの対象・・・経済財だけでなく、アイデアや社会的主張をその対象とするマーケティングが増えている。環境保護運動やエイズ予防などの社会変革キャンペーンがこれに当たる。近年では政党・政治団体の活動もマーケティングの一類型と考えることができる。

・マーケティングの客体・・・従来の消費者やユーザーだけでなく、マーケティング活動が直接、間接に社会全体に及ぼす影響も考慮することが求められる時代である。たとえ消費者に求められる製品であっても、それが人権や地球環境に対して悪影響を与えるようなものであれば生産・販売を行うことは許されない。このような、社会的利益を優先するマーケティングを「ソサエタル・マーケティング」と呼ぶ。

2007年に最新版が発表されたアメリカ・マーケティング協会(AMA)によるマーケティングの定義も、以上述べたようなソーシャルマーケティングの概念を強く意識した表現になっている。