2025-12-16 ターゲティング・アプローチ①
ターゲティングとは、セグメンテーションのプロセスで細分化された市場を評価して、どの市場を標的とするかの意思決定である。コトラーはターゲティングのアプローチとして、無差別型、差別型、集中型の3種類を挙げている。
無差別型・・・差別化された市場間の差異を考慮に入れず、単一の製品をすべての市場に投入していく方法である。言い換えれば、消費者ニーズの相違ではなく共通点に着目したアプローチである。すべての性別・年代をターゲットとするユニクロの戦略が代表例と言える。企業は規模のメリットを最大限に享受し、極めて効率の良いマーケティングを展開できる。もっとも、全ての顧客に支持されるような商品やサービスを開発することは困難であるため、このアプローチの成功例は極めて稀である。
差別型・・・細分化された市場ごとのニーズに適した製品をそれぞれの市場に投入していく方法である。顧客の嗜好や価値観が多様化した現代においては理にかなったやりかたと言え、消費財から耐久財まで多くの企業で採用されているアプローチである。もっとも、個別の市場に異なるマーケティングミックスを用いることになるため、効率の面では劣ることになる。対象とする各市場が十分な「維持可能性」を有するか、自社の「実行可能性」は十分か、といった点がカギになる。
集中型・・・細分化された市場の中から特定の市場に限定し、そこに経営資源を集中して投入していく方法である。多くの顧客を満足せることはできないが、特定のニーズを持つ顧客層からは強力な支持が得られ、高シェアも期待できる。経営資源の量に劣る企業にとっては効率の良いアプローチと言える。一方で、対象とする市場が縮小したり、顧客のニーズが変化したりした場合は苦境に陥る。強力なライバルや代替品が登場した場合も同様である。
コトラーのこの考え方は、ポーターの三つの基本戦略「コストリーダーシップ」「差別化」「集中」とよく混同される。二人の違いについてざっくり言えば、「戦略としてのレイヤー」が異なると理解しておけばよい。コトラーはマーケティングプロセス上の「顧客の切り取り方」を論じているのに対し、ポーターは企業が競争戦略を検討する上での「勝ち方の型」について述べている。どちらが正しいとか優れているとかいう話ではない。

