2025-12-18 ポジショニング

マーケティングを学び始めたばかりの人から、「セグメンテーションとターゲティングは理解できるが、ポジショニングがよくわからない」という声をよく聞く。ポジショニングはSTPの最終プロセスだが、実はビジネスの成否を直接左右する最も重要なファクターである。極言すれば、SとTに多少粗いところがあっても、優れたポジショニングが設定できればそれなりの成果をあげることができる。

ターゲットとすべき市場セグメントが決まったら、自社の製品・サービスが当該市場の中で占めるべき「位置」を決定する。これがポジショニングである。企業側からポジショニングの働きかけがないと、顧客は当該製品を自分の思うままにイメージ付けし、結局何が良いのかよくわからないブランドができあがってしまう。これでは勝負にならない。

お分かりの通り、ポジショニングは絶対的なものというより、競合関係にある他の製品との比較において形成される相対的なイメージである。したがって、製品そのものに対する特徴づけというよりは、その特徴、すなわち競合製品との差異を顧客にどう認識してもらうかという働きかけだと理解すべきである。例えばドトールが「手軽に高品質のコーヒーを飲める場所」であれば、スターバックスは「コーヒーと共に豊かな時間を過ごす場所」というポジショニングを設定し、ともに差別化に成功している。この場合、コーヒーそのものの差別化というよりは、店舗の雰囲気を始めとするブランド全体の訴求が両者のイメージを明確に区分している。もちろん出店エリアやターゲット顧客もそれぞれ異なる。

ポジショニングの有効性を確認するために、筆者はよく「VRIO分析」を行う。VRIO分析はもともと企業の内部資源に着目し、事業戦略の当否を検証するものであり、その意味ではもう一つ上の戦略レイヤーのためのツールである。しかし、考えついたポジショニングを「顧客にとっての価値」「希少性」「競合他社にとっての模倣困難性」「戦略遂行のための社内体制」という観点から見ていくツールとしても、実務上極めて重宝する。