2025-12-19 バリュー・プロポジション

製品やサービスが顧客に提案する独自の価値。マーケティング・プロセスでは、ポジショニングのフェイズにおいて、顧客に認識されたい提供価値(ベネフィット)の定義を指す。自社商品のポジショニングを決定づける核心部分と言える。

もう少し平たく言うと、バリュー・プロポジションは「この商品を買っていただければこんないいことがありますよ」「あなたのこんな課題を解決しますよ」というメッセージである。多くの類似製品がある中で、なぜ自社の商品を選ぶべきかという提案であるとともに、「この点に関してはどこにも負けません」という顧客との約束でもある。「独自の」というニュアンスがやや強い「ユニーク・セリング・プロポジション(USP)」という言葉もあるが、ほぼ同義であると考えてよい。

バリュー・プロポジションは、できるだけ一つのベネフィットに絞り込んで訴求することが重要である。販売する企業にとっては「あれもできる、こんないいところもある」と主張したいところだが、それをやるとメッセージを受け取る顧客の側が混乱し、ポジショニングのピントがぼやけてしまう。自社でなく顧客の側に立ち、彼らにとっての唯一無二のメリットとして定義することが肝要である。顧客のあらゆるニーズに応えようと、多機能な商品があふれかえる家電業界において、あえて機能とデザインを抑制し、「これで十分」という価値を提案したアイリスオーヤマなどが最近の成功事例と言える。

実務的には、まず3C分析のフェイズで、「顧客が求め」「自社に提供でき」「他社には提供できない」ジャンルに当たりを付けることで、マーケティングの対象とすべき製品・サービスを特定する。ポジショニングのフェイズでは「ポジショニングマップ」を用いて自社製品に独自のベネフィットを言語化することになるが、これがなかなか一筋縄ではいかない作業である。