2026-2-17 価格戦略

「値付けは経営」という言葉がある。価格設定は経営者が最も重視すべき業務の一つである、という意味で、京セラ創業者の稲森和夫が述べたと言われている。それは、価格というものが以下に挙げるようなさまざまな要素を総合的に勘案して決定される、高度に複雑な経営的思考の結果であるからに他ならない。

組織目標・・・組織の目標とそれに伴うマーケティング上の目標を達成することができる価格でなければならない。売上高や市場シェア、利益額といった数値目標だけでなく、当該組織の理念や存在意義に照らして適切と言える価格かどうか、とう点も判断基準になる。

価格以外のマーケティング施策との整合性・・・価格は独立の変数ではなく、マーケティング上の他の要素、例えばチャネル政策やプロモーション施策と連動して設定されるべきものである。

コスト・・・もちろん製造コストとマーケティングコストは勘案されなればならない。市場シェアを押さえにかかるとか、コストリーダーシップ戦略を取る場合には、コストは最も重視されるべき要素になる。

競争状態・・・競合他社の状態も重要な判断要素である。消費者にとって大きな差異が感じられない製品で競合している場合には、低めの価格で勝負せざるを得ない。しかしそのことが相手の報復を生み、血で血を洗う安売り合戦になっては共倒れになる。したがって現在だけではなく、その先にどうなるかの予測も含めて価格を決めなければならない。自らの競争上の地位、例えばリーダーかフォロワーかによっても意思決定は変わる。

経済状況や法規制・・・マクロの経済状況や法規制などの外部要因も価格に影響する。各種の政策や経済動向が自らの属する業界にどのような影響を与え、今後どうなるか、といったことに可能な限り精度の高い予測を立てなればならない。また、市場に対する影響力の大きい企業では特に、独占禁止法や不正競争防止法といった制約要因にも目配りが必要になる。