2026-3-9 延期と投機
サプライチェーン管理におけるもっとも根本的な決定要素の一つ。製品の最終形態を確定するタイミングに関する選択を取り扱う。
延期とは、製品の最終形態決定と在庫形成を、できるだけ消費現場に近いところまで引き延ばそうとするアプローチである。実需が確定してから製品を完成させるので、在庫リスクを低減し、顧客ニーズに合わせた製品供給が可能になる。一方で多品種少量生産や短納期生産を余儀なくされ、生産コストが上昇しやすい。また、物流拠点や配送の仕組みも複雑になりがちである。
一方の投機は、製品の最終形態と在庫形成を、消費現場から遠い位置で前倒しで確定させようとするアプローチである。需要予測に基づく大量見込生産と、大ロットかつシンプルな物流により、規模の経済性を最大限に甘受する狙いがある。需要予測が当たっている限りは、顧客に最も短い納期で製品を提供できるやり方でもある。もちろんその分、過剰在庫や環境変化による陳腐化といったリスクがつきまとう。
延期と投機は対極的な概念だが、実際の企業活動ではこの中間的な手法が採用される場合が多い。すなわち、部品や中間製品などの在庫を一定程度保有し、ある程度顧客ニーズの変化に対応できる状態(最終製品の形態を決め込まない状態)で需要の確定を待つ、といったやり方である。この、見込生産から受注生産に切り替わる境界線(ここから先に進むと後戻りできない生産ポイント)のことを「デカップリングポイント」と呼ぶ。

