2025-11-7 複線型人事制度
企業内に複数のキャリアコースを設定して、社員に選択させる制度。日本企業の多くが採用する「職能資格制度」は、本来その人が持っている「能力」を基準に人事を行っていく制度であるから、理論的には単一のコースで運用が可能である。しかしながら、従業員の価値観やキャリア志向の多様化が、手間もコストもかかる複線型人事制度の導入を多くの企業に余儀なくさせている。また、後述するようにこの制度は企業の側にとってもいくつかのメリットがある。
一般的な複線型人事は以下のようなものである。
・管理職と専門職(専任職)
管理職は従来通りのライン上の管理者であるが、専門職は特定分野における専門家であり、通常はその専門性から離れた異動が行われることはない。高度な知識や技能を生かす専門職の場合は、部下を持たず個人で仕事をすることも多い。
・総合職と一般職
企業の中核的人材として管理職にもなる総合職と、実務の負担が少ない代わりに昇進や昇格も限定的な一般職という区分である。昭和の時代には「女性社員は一般職」という常識もあったが、今は少なくとも建前上は、そうした性差による区別はない。むしろ個人の事情で業務負担を軽くしてほしい、という要望に応えるという運用が一般的である。
・地域限定社員
同様に個人の希望で、ある地域に限定した勤務となっているコース。
企業側のメリットとしては、例えば専門職コースであれば、コース別の教育の実施により効率よく専門的な訓練ができる、役割がはっきりしているから配置に迷う必要がない、といったことがある。何より複線型人事制度は社員の希望を聞くものだから、帰属意識が高まり離職率を下げる効果が期待できる。

