2025-11-29 能力開発の方法

能力開発をその実施形態で分類すると、OJT、Off-JT、自己啓発の3種類に分けられる。

・OJT(On the Job Training)・・・実際に仕事を行いながら、上司や先輩が部下の指導を実施し、業務遂行に必要な知識やノウハウを獲得させる教育訓練の方法である。実務能力を高めるためには非常に効果が高く、後述のOff-JTよりコストも安い。日本企業の能力開発の柱をなす手法である。難点としては、仕事の体系化や全体感の把握には不向きであること、教育効果が指導する人の質に左右されてしまうこと、どうしても短期的な成果に目が向きがちであること、などが挙げらえる。

・Off-JT(Off the Job Training)・・・いったん実務から離れて、別に時間と場を設けて行われる教育訓練。社内で実施される各種の研修や、社外のセミナー・講習会等への参加が代表的なものである。新しい知識や技術を体系的に学ぶのには適しているが、実務に直結する度合いで言えばOJTに及ばない。個人の個性や能力にきめ細かく対応する、といったことも難しい。

・自己啓発・・・従業員が自らの意思で行う能力開発。個別の興味に沿って、あるいは将来必要とされるスキルの習得などを自発的に実施するものである。個人が主体でやることなのでなので厳密には人事施策といえない部分もあるが、多くの企業では自己啓発を奨励し、費用援助や資格手当の付与などさまざまな支援策を行っている。また、昇進や配置転換の条件に資格取得やe-ラーニング修了を義務付けて、実質的にOff-JTの代替としている企業も少なくない。

能力開発の入口がOJTであることに筆者は全く異存がない。それがどんな仕事であれ、まず手を動かし、体で覚えなければ何も始まらない。一部の若者にはこの部分への耐性があまりにも欠けている、と感じることも少なくない。一方でこれまでの能力開発があまりにもその企業特有のスキル・ノウハウの習得に偏っており、他社でも通用するポータブルスキルに無頓着であった、というよりむしろ転職を促しかねない「望ましくないもの」として遠ざけてきた、ということは否めない。個人の側には自らのキャリアビジョンをしっかり持ち、必要な能力は自ら身につける「覚悟」を、企業の側には従業員一人ひとりに寄り添い、それぞれのキャリア形成を大切に扱う「姿勢」を、それぞれ望みたい。

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