2025-12-17 ターゲティング・アプローチ②

エーベルはコトラーが設定した標的市場のパターンをさらに細分化し、製品・市場の2軸で絞り込んだ市場を対象とする「単一セグメント集中型」「製品専門型」「市場専門型」「選択的専門型」という4パターンと、全ての市場を対象とする「全市場浸透型」という、合計5つのパターンに分類した。

・単一セグメント集中型・・・セグメントした一つの市場に一つの製品を投入する。経営資源の少ない中小企業やスタートアップに適した手法である。事例としてはポルシェや養命酒を思いつく。市場の盛衰と運命を共にするリスクがある。

・製品専門型・・・強みのある製品に特化し、市場は限定せず複数のセグメントにまたがって投入する。食品や消費財など、多くの業種で採用されているパターンである。成否は自社製品の競争力に依存し、常に代替品の脅威にさらされる。

・市場専門型・・・製品は限定せず、自社がそのニーズを把握している市場に経営資源を集中投下する。卸売業によく観察される。ターゲットとした市場の顧客群にとっては利便性が高く、重宝されるが、やはり市場の動向に振られやすいリスクがある。

・選択的専門型・・・複数のセグメントを選択し、それぞれのセグメントに投入する製品は別々、というやりかた。無関連多角化したコングロマリットをイメージすればよい。事業としてのシナジーには乏しいが、リスクの分散という意味ではメリットがある。

・全市場浸透型・・・すべての顧客群にあらゆる製品を提供するフルカバレッジ戦略。コトラーの「無差別型」と同義である。ユニクロや(昔の)コカ・コーラがよく引き合いに出される。この戦略を採用できるのは、巨大な資本と圧倒的な競争力を持つ企業に限られる。

なお、歴史上エーベルの最大の貢献は、事業ドメインの定義において「三次元枠組み」を提唱したことだと言われている。なるほど、「どんな顧客に」「どんな機能を」「どんな技術で」という定義を具体化していこうとすると、今回の5つのアプローチに収斂する、という理屈は腑に落ちる。