2025-12-27 観察法
調査対象者の行動や反応を調査者が観察することによって情報を収集する手法。小売業で行われる動線調査や通行量調査が代表例である。質問法と異なり、対象者が自覚していない行動を捉えることができる点がメリットである。一方で、観察者の主観が影響しやすいため、データの客観性を担保する工夫が必要とされる。
観察法には、用いる手法により、いくつかの区分の仕方がある。
・直接観察法と間接観察法・・・調査者が対象者を直接観察するのが直接観察法、ビデオ映像やSNSの投稿など過去のデータを使うのが間接観察法である。前者はリアルで詳細なデータが得られるが、調査者がそこにいることによる対象者の行動への影響(観察者効果)の問題が生じることがある。後者は取得できるデータに限界があり、観察の対象が限られるデメリットがある。
・自然観察法と実験観察法・・・自然観察法は、調査者が環境に干渉することなく、対象者ありのままの行動を記録する方法である。これに対し実験観察法は、観察者が特定の条件を設定し、それが対象者の行動にどのような影響を与えるかを観察する。動線調査を例に取れば、看板や椅子の位置を変えると買い物客の動線がどう変わるか、といったことを見るものである(「実験法」のコラムで詳述する)。
・参加観察法・・・直接観察法の一種で、調査者が調査対象のグループや環境に実際に加わり、その中で情報を収集する方法。時間も費用もかかるが、調査対象の価値観や行動パターンを深く理解することが必要な場合に行われることがある。マーケティング活動がデザイン思考の枠組みで行われれる場合には、初期段階(「共感」のフェイズ)でよく用いられる手法である。
・逐次記録法・・・間接観察法の一種で、対象者にある行動や体験が生じた直後に、自身の行動や感覚を記録してもらう手法である。対象者の主観が入りこんでしまうデメリットはあるが、新鮮なデータを比較的効率よく収集することができる。
観察法は、かなり大掛かりな調査を行ったとしても、しょせんサンプル調査の限界がある。観察者の主観によるバイアスも避けられない。厳密な客観性を求めるものではなく、対象領域を深掘りして、広く浅い調査では見逃されてしまう気づき、いわば「直感」を得るための調査と理解してほしい。

