2025-8-13 統制範囲の原則

組織を設計する原則の一つ。統制範囲とは、一人の上司が指揮監督できる直接の部下の人数のことである。「管理の幅」、「スパンオブコントロール」ともいう。統制範囲を広げれば階層数、すなわち管理者の数を削減することができるが、一人の管理者が有効に管理できる部下の人数には限界があり、これを超えて部下を持つと管理効率が低下する。一般的に部下の数は「2枚のピザを分け合うことのできる人数」、すなわち5名から8名が理想とされる。

ドラッカーは著書「マネジメント」の中で、統制範囲の限界説は「階層を積み重ねるだけ」だと否定しつつ、別の個所では「一人の人間が本当によく知ることのできる人間の数は12人から15人」と述べている。

管理者の統制範囲を拡大するには、下位メンバーの知識や熟練のレベルを上げることに加え、彼らに組織のビジョンや行動規範を浸透することで、例外的な事項への判断力を高めることが欠かせない。また、属人的な業務を解消して作業の標準化を進めること、チーム内で互いに助け合うことのできる関係性を構築するなどの工夫も必要になる。

筆者は企業の管理職だった時代、チーム内に自らの補佐役を作り、数名のグループを管理させながら意思決定の訓練をする、ということをよくやった。疑似階層ではあるが人件費は増加せず、後継者育成にも資する。ただし、「非公式な権限委譲」と認識され、不公平感を生じさせることのないよう、チーム内によく腹落ちさせることが必要となる。