2025-9-2 組織スラック
組織が業務遂行に必要な最低限の量よりも多めに保有している経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)。「ゆとり」や「遊び」の部分を指す。例えるなら人間にとっての脂肪分である。企業であれば余剰資金や在庫、人員や設備、情報資源の冗長性などが該当する。
例えば工程間在庫をゼロにするよりも、若干量許容するほうが、工程内のどこかでトラブルが発生した場合の対応は楽になる。各工程部門の対立や調整が起きにくくなり、処理すべき情報量を減らすことができるからである。二人のマネージャーにある程度職務権限を重複させておけば、一人が多忙でその職務を行えなくても、もう一人がカバーすることができる。
組織スラックは言ってみれば「ムダ」であるから、持ちすぎると非効率や心理的なゆるみを生じる。しかしながら環境の不確実性が高まっている時代に、組織の存続と成長を支える戦略的な資源と見ることもできる。イノベーションや新規事業のアイデアは、日常業務をこなすのに精いっぱいの、ギリギリの体制からは生まれない。ドラッカーは、新たな事業機会の発掘を実現するには、まず組織としてやめることを決め、意図的に組織スラックを創出することを提案している。

