2025-9-29 パワー

パワーとは、他者の行動に自分の意図した特定の結果をもたらす影響力のことであり、その内容は「社会的勢力」の6項目とほぼ同じである。リーダーシップとの違いは、その影響力を組織本来の目的のために使うかどうかだと考えられる。パワーは組織目的との整合性を要件とせず、どちらかと言えば他者を従わせるための戦術に重きを置く傾向が強い。

カナダの経営学者ヘンリー・ミンツバーグは、これまでコミュニケーションの一形態として捉えられていたパワーの、経営面における重要性を強調し、戦略形成のスクール(学派)の一つとしてカテゴライズした(「戦略サファリ」)。組織内や外部組織との利害関係を、パワーによって有利な方向に誘導することは、戦略遂行のプロセスにおいて極めて重要な要素であり、現実の世界においてこれを除外して考えることはナンセンスだというのが彼の主張である。

組織内でパワーを行使する者は、意思決定に際して影響力を行使し、結果としての利益分配に関与する行動を取る。これすなわち「政治」である。政治には意思決定の結果をメンバーに受け入れやすくし、その後のアクションをスムーズにする効果があるから、ある種の経営層は頻繁に政治を用いたがる。

これが本来の組織目的を果たすための「手段」として用いられている間は良いが、いつの間にか手段が目的化し、自分の思うとおりに物事を進める力をめぐる複数人、あるいは複数グループの権力闘争に発展するのが常である。そういう人たちに限って、「正しいことをなすためには力が必要だ」的なセリフを口にするから困りものであるが、おそらく当人たちは本当にそう信じ込んでいる。