2025-9-30 制度的リーダーシップ

アメリカの社会学者セルズニックが提唱した概念で、組織に使命や目的、将来像などを設定して「独自の価値」を注入し、強化する活動をいう。この場合のリーダーシップは、集団内部の部下との関係性といったレベルを超え、組織全体に価値観を注入し外部にも発信するというステーツマンシップであるとされる。

制度的リーダーシップの機能は以下の4つである。

・組織の使命と役割の設定・・・その組織が果たすべき役割や期待される成果を具体的に定義する。

・目的の制度的体現・・・設定した理念や目的を具体的な制度や活動として組織内に組み込む。

・制度の一貫性の防衛・・・組織の理念や目的がぶれることなく、安定して実行されるよう制度を維持・強化する。

・コンフリクトの処理・・・組織内で発生するさまざまな対立を解決し、調和を図る。

それでは制度的リーダーシップにおいて掲げるにふさわしい組織のミッションとは何か。公的機関や病院など、営利を目的としない組織であれば、「社会貢献」というフレーズは比較的容易に思いつくだろう。一般企業の場合はどうか。「利益の最大化」では目的と手段の置換を感じるし、「地域社会への貢献」ではきれいごとに過ぎる。少し長いが、「独自の能力で社会課題を解決し、その良き活動が維持拡大できるだけの対価を得ること」といった説明ならば、個人的にはしっくりくる。

従業員を日々厳しいノルマで追い立てる一方、朝礼で「お客様の笑顔のために」と唱和させる企業があるとすれば、この企業ではそれぞれの活動がつながっていない。つまり、体系化された「制度」になっているとは言えないのである。